うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【BPL#7】"Double Unbeaten"~チェルシー v アーセナル~

ビッグ・ロンドン・ダービーがやってきました。果たしてロンドンは赤いのか、それとも蒼いのか。

キックオフの笛が鳴るよりも先に先制攻撃を仕掛けてきたのはガナーズサポ。ガラタサライから相手チームを威嚇する術を学んだのか何なのか知りませ んが、スタジアム入場口で発炎筒を炊きK.Oを15分遅延させるという迷惑行為にでます。ただ結果的に攻撃した相手はチェルシーというより、むしろ15分 の場を繋がなければならなくなった全世界の実況&解説席に座るコメンテーターたちだったというオチ。


 


両者スタメンはこちら。例年通りしっかりと負傷者を出してきたアーセナルフラミニウィルシャーカソルラという中盤の構成でチェルシーの中央突破対策。チェルシーは特に目立った起用はなし。それではキックオフ。


〇ヒダリ&ハイプレスで主導権

 この試合、終始チェルシーは極端に左に偏った攻撃を仕掛けます。オスカーやコスタも迷うことなく左に流れ、左で起点を作り左から崩していこうという意識ボールロストをしたらすぐさまプレスをかけアーセナルのポゼッションを阻止。序盤から試合の主導権を握っていきます。

シュールレがDFの裏を取るいいランを何度かしてましたが、一度も通らず。ただシュールレの裏抜けが成功していたことは事実なので、やはりアーセナルのDFの裏への意識の低さを証明してたのかなと。後半ここから失点しましたしね。

左を執拗に攻めてくる攻撃に対しアーセナルはチェンバースが頑張りを見せ、チェルシーの「前回みたく始まってすぐに得点してメンタル破壊しよう」作戦をなんとか阻止することに成功。

左サイドをある程度ジャブし終え、少し試合全体の流れに落ち着きが見えてきたところでアーセナルの守備を砕いたのはアザールの個。独力で スルスルとBOX内まで抜けて、最後はコシエルニーのファールでPK獲得。人数揃って守るときにありがちな「これだけ居れば抜かれないはず」を見事に再現 してみせたアーセナルディフェンダーズでした。「セットされたブロックをどう攻略するか」という問題に対する解がドリブルになっているのは、最近のトレンドなのかなとも思ったり。これをアザールコロコロPKで沈めて先制に成功。


アーセナルの狙い

 アーセナルの攻撃の柱は大きく分けて2つありました。1つはウィルシャーカソルラのドリブルでボールを運び、なるべくウェルベックやサンチェスとの距離を縮めたところでの崩し。そしてもう1つはショートカウンター

このショートカウンターで明らかに意図的に行われていたのが、左(チェルシーから見て右)に振ってから中央に戻してチャンスメイクという一連の流れ。
 


赤い丸で囲ってあるのはクエ太、アザール、オスカー、セスク。BOXにいるのはコスタとシュールレです。シュールレまで中に入ってきてるので、右はもはやイヴァノだけという。
このように左サイドに複数人を集結させて数的優位をつくっていく攻め方をしていた(この攻め方はヴィラ戦でもやってましたが)チェルシーは、その状態でボールロストをすれば必然的に人数の少ない逆サイドの右の守備が薄くなります。ヴェンゲルはその穴を突くような狙いを持ってこのカウンターの動きをチームに仕込んだのかなと。

加えてセスクの「ネガトラが遅い」という弱みをヴェンゲルは当然知っているので、左のサンチェスでケーヒル&イヴァノを釣りつつ、最終的にセスクのカバーが遅れる中央でのチャンスメイクを何度か成功させていました。


〇黒子オスカー

 後半同点を狙うアーセナルがボールを保持し、先ほど挙げたウィルシャーの運びを中心として立て続けに攻撃をする時間帯がありました。その時間帯のオスカーのカバーリング能力の高さといったらなかったですね。
危機を誰よりも早く察知しほぼ全てのピンチの芽を摘んでました。シュートブロックも何本か。これが無ければ後半立ち上がりに追いつかれて別の試合になってた可能性も全然あったと思います。


 シュールレ⇒ミケルでセスクを一つ前に出し、更に中盤の守備を厚くしモウリーニョアーセナルにボールを持たせつつカ ウンターで追加点を狙ったこの采配そのままに、ミケルのカットから、前がかりになっていたDFの裏に抜け出したコスタがリーグ戦7試合で9ゴール目となる 得点を決めて勝負あり。セスクの空中の距離感を完璧に把握したラストパスはまさに芸術。

ランパードに決められたチェルサポも、かつての愛人セスクにトドメを演出されたガナーズサポに同情など無く、試合終了のホイッスル。 これでモウリーニョのvsヴェンゲルも、チェルシーのリーグ戦もUnbeaten。


FT:チェルシー 2-0 アーセナル|Hazard(27'*pen), Costa(28')

ロンドンは蒼かった。個人的にはこれまでで一番ハラハラすることなく勝利を見届けたかなと。それくらい強固かつアグレッシブな守備でし た。モウリーニョも試合後インタビューで言ってましたが、決して一辺倒のチームになることなく、相手によって戦い方を変えられる、それくらい戦術の引き出 しとそれに順応できるだけのクオリティがこのチームにはありますね。セスク獲得後にモウリーニョが残した『セスクは我々を新しい次元へと導いてくれる』と いう言葉が、今まさにピッチの上で。