うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【BPL#34】"An Exciting Draw"~アーセナル v チェルシー~

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 今季のプレミアも残すところあと6試合。先日のユナイテッド戦の勝利によってリーグタイトル奪還をいよいよ視界に捉えたチェルシーは、敵地エミレーツに乗り込みました。ちなみにムッシュことヴェンゲルはまだ一度もモウリーニョ相手に勝ったことがないそうですよ奥さん。

スタメン

 両者のスタメンはこちら。コスタとレミーが離脱というチーム事情を抱えるチェルシーはオスカーがトップを務めま した。右SHにはラミレスを起用。対するアーセナルは、出場かどうか微妙だったメルテザッカーが間に合い、先発に。GKはシュチェスニーの控え室喫煙事件 以降、オスピナになっているようです。それでは、キックオフ。


〇前衛守備アーセナル

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 立ち上がりから積極的なプレスを見せたのはアーセナルチェルシーが最終ラインでボールを持つや否や、ジルー、 エジルに加えて両SH(サンチェス、ラムジー)の4枚でプレスを敢行。こうすることでSBへの経路を断とうとしているようでした。SBを塞がれたチェル シーが持つ選択は、「CBにボールを運ばせる」、「前線が降りてくるのを待つ」、「クルトワまで下げてドッカン」。ケーヒルやJTがボールを運ぶような場 面はほとんど見られなかったので、多くの場合アザールやウィリアンが降りてボールを触るか、クルトワに戻してドッカンという感じでした。ただし、クルトワ にはデ・ヘアほどのフィード力はないので、「クルトワまで下げてドッカン」というプレーを選択するすなわち、アーセナルのプレスが成功したと言えると思い ます。

 それでもチェルシーは、ラムジーがあがって出来たスペースをウィリアンとアザールに使わせてワイドに起点をつくろうとします。加 えて、前衛守備で意識が前目になっている裏を突きラミレスとオスカーを走らせることで攻撃の活路を見出さんとします。実際に'15にオスカー、'20にラ ミレスが、それぞれ裏取りに成功しています。


〇左ペナ角⇒大外というトレンド

  左ペナ角

 シーズン終盤のアーセナルはなかなか見ごたえがあった。というのも、いつもは「よそはよそ、うちはうち!」とい う頑固なまでにパスサッカーに信念を抱くヴェンゲルが、今季(特に終盤戦)はトレンドを織り込んでいたり、ポゼッション放棄のカウンターをしてみたりして いるからです。その今季のトレンドというのは、シティやチェルシー(特に序盤戦)、レヴァークーゼンなど多くのチームが採用している「ペナ角攻め+大外」 という攻撃のパターン。

 固定ポジションという概念のブレイクがハインケスやペップを中心に浸透してきていて、右SHが逆サイドまで遊び にいくなんていう光景が珍しくなくなってきました。そしてその多くの場合、片方のサイドはウィンガータイプの選手(ドリブルで運べる)で、もう片方、つま り逆サイドまで動くSHはどちらかというとセンター寄りの選手です。アーセナルでいうと、ラムジーがそれにあたります。ウィリアンをチェルシーがSHで起 用しているのも、このためかと。

 アーセナルはボールを奪ったらまずはサンチェスに預け、そこからボールを前進させていきます。そしてタ メをつくると、モンレアルエジル、そして逆サイドのラムジーが一斉に左ペナ角に集合することで数的優位の状況をつくります。ここで数的優位を活かしてサ イド攻略できたのなら、そのままクロスなりサイドをえぐるなりすればいいんです。しかし、そこは同じ攻撃パターンを駆使するモウリーニョもリサーチ済み だったのでしょう。イヴァノとラミレスでサンチェス対策をしてしっかり封じ込んでいました。

 それでも、この左ペナ角では、相手が警戒し て同じように人数をかけて守ってきたときに大外を使うというオプションがついています。それが'33の場面。スライドして右サイドの守備が希薄になったと ころを、ベジェリンがBOX侵入の走り込みをしています。シティでもよくサバレタがやるやつです。





'37 - ウィリアンがドリブルで運んで、ラミレスに決定的なスルーパスを出すも、ラミレス決められず。

――――― 後半 ―――――

 前半でオスピナと衝突したオスカーに代わって後半から ドログバが登場(オスカーは病院へと直行するも、その日までに退院し自宅休養)。モウリーニョは恐らく中盤で繋いでロスト⇒被カウンターを招くよりは、中 盤省略でドログバにあててこぼれ球を拾っていく方がリスクを考えても得策だと考えたのでしょうが、ドログバが空中戦で勝てない勝てない。どのくらいドログ バがやれるとモウーニョが計算して送り出したのかは分かりませんが。

 この日に限っては、チェルシーにとっては勝ち点1も勝ち点3のよう なものだったので、モウリーニョは布陣を変えマティッチ、ラミレス、セスクの3センター気味の守備で中央の守備を厚くします。後半になりアーセナルのプレ スの強度も弱まったので、割とボールを持って時計を動かせたチェルシー

'75 - コクランに代わってウェルベック。守備の枚数を削って攻めに人数をかけにいくヴェンゲル。

'83 - ジルーに代わってウォルコット。ジルーに仕事をさせなかったケーヒル&JTは素晴らしかった。

'90 - セスクに代わってズマ。ラミレスとかズマとか、使い勝手の良い選手が大好きなモウリーニョ

'93- ウィリアンに代わってクアドラード。ロンドンダービーの社会科見学かな?


FT:アーセナル 0-0 チェルシー

  見事思惑通りのドローを手にしたチェルシー。自分の書いたシナリオ通りに試合を終わらせてしまうのがモウリーニョの恐ろしさ。Boringだろうが何だろ うが、チェルサポにとってはこれ以上なくExcitingなドローとなりましたとさ。優勝までに必要な勝ち点は、あと6。