うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【BPL#19】"Halfway Through"~サウサンプトン v チェルシー~

 

シーズンも19節を迎え前半戦を終えようとしているプレミア。2014年最後の試合となったこの試合の相手はアウェイでのサウサンプトンとなりました。前節の西ハムに続き、今季好調を見せているチーム。

 


両者のスタメンはこちら。セインツは右SBにヨシダ選手を置き、左SBにはバートランドがローン元となるため出場できずターゲットが起用 されました。そしてチェルシーはいつものメンバーに少し手を加え、右SHにシュールレ、セスクをひとつ前に上げてマティッチの相方にはミケルを置く布陣。 それではキックオフ。



◯スペースと時間の使い方

セインツの守備セットは4-4-2。マネとペッレに最終ラインを見させ、シュナイデルラン&ワニヤマというプレミアでもトップクラスのボ ランチコンビを中心に中央の守りを固めていきます。その中で、クーマンがセインツに落とし込んだ「スペースと時間の使い方」は今季セインツの躍進を支える ひとつのファクターではないかなと。
 
 
このようにクーマンは昨季ブレイクした4-4-2の守備構築を導入し、ボールがあるサイドに人数をかけ、SHおよびSB、すなわちサイドの選手 の動きを柔軟にすることでスペースを消しつつ且つボールホルダーに対して数的優位という状況をつくりだしていました。特にチェルシーアザールの存在の影 響により左から攻撃を組み立てることが多いため、右SHのデイビスがボールホルダーに寄せ、ペッレorマネと複数で囲むというシーンが幾度も確認されまし た。前半におけるチェルシーの対策としては、「もっとサイドチェンジのボールを多用してセインツにスライドの守備の動きを繰り返しさせる⇒スライドが追い つかなくなったギャップを突く」あたりでしょうか。

 -後ろでもボールを持てるセインツ

スペースの次は"時間"の使い方。この試合、セインツが設定した勝利へのアプローチは恐らく、「上述したような守備システムをもって中盤 でのボール奪取⇒ショートカウンター」かと思われます。が、90分間この集中力を保ちきってこの戦い方を完遂するのは簡単なことではありません。そこでセ インツは「チェルシーにポゼッションを譲りボールを持たせる時間帯」と「自分たちがボールを保持し"スイッチOFF"にする時間帯」とをうまいこと使い分 けることが出来ていました。

これにはGKフォースターの存在も大きいのかなと。彼は決してボールがきたらドカンして簡単にポゼッションを放棄してしまうようなタイプ ではないどころか、足元がありしっかりとボールを扱えるGKです。またワニヤマも見た目によらずボールを捌けるボランチなので、チーム全体としてスイッチ をOFFにする時間帯にはしっかりとボールを保持し、チェルシーが得点するに必要な時間を削ることに成功していました。ただやはりリスクというものはどの 戦い方にもあるもので、一度フォンテが自陣でアザールにパスをしピンチを招く場面もありました。



JTのラインコントロールミスからマネが先制をあげたセインツは、変わらず中盤以降の安定した守備と前線マネの機動力を武器に試合を組み 立てていきました。そして優勢のまま前半を終えられるかと思った前半のアディショナルタイム。中盤のカットからコスタが粘り、セスクのパスに反応して裏に 抜け出したアザール、カットインをしてながらシュートコースをつくり右足一閃で同点弾。明らかに劣勢な前半でしたが、一度のチャンスをモノにしてしまうあ たり、アザールの怪物っぷりを感じます。

 

シュールレ⇒ウィリアンによって攻撃にフレキシビリティを加えたモウリーニョ

前半攻撃がうまく回らなかった要因として、セインツの守備の良さとは別に、チェルシーはパスコース確保係を欠いていたというのが挙げられ ると思います。今季チェルシーの強さは、「ボールを持ったときに攻撃の幅を限定することで選手同士が限りなく近い距離でプレーできること」。この強みを出 すには、ボールを持っていない選手たちの動き(=フリーラン)の質の高さが求められます。相当高い質です。

この試合先発となったシュールレは惜しくも前半でウィリアンと交代させられてしまうわけですが、それにはやはりフリーランの質に問題が あったわけです。特にシュールレはどちらかというとサイドに張ってボールを受け、「僕はずっとサイドにいるから探しやすいでしょ」という規則的・約束的な 動きをしてくれる(モウリーニョによって動きの質もすこし改善されてはいるけど)タイプなので、味方からすれば常に居場所を捕まえやすい、起点となりやす いという長所がある一方で、ある意味では守る側からすれば守りやすいです。

そこでモウリーニョは、より不規則的な動き、そして中盤にフレキシビリティをもたらし上手いこと掻き回してくれるウィリアンを投入することで、セインツの守備攻略を図りました。

その目論見は見事に達成され、ウィリアンが常にピッチを動きまわることで選手間を繋ぎ、パスコース確保係になるという効果も得られました。



攻撃が徐々に回ってくると、セインツの全体ラインを押し込むことに成功したチェルシーアザール、セスクを中心に左サイドからの崩しを狙っていきます。

ただ何度かチャンスをつくるも、肝心なところでコスタがピッチに足を滑らせスリップ、PA内でのセスクへのファールも何故かダイブ扱いされるという不運も重なり逆転弾がなかなか生まれません。

ミケルに代えてドログバを入れ攻撃に更にウェイトをかけるも、ゴールが遠く決まらない決まらない。

シュナイデルランが2枚目のイエローで退場になるも結局逆転弾は生まれず、10人のセインツ相手に引き分けで2014年を終えることとなりました。


FT:サウサンプトン 1-1 チェルシー|マネ(17') / アザール(45+1')

シー ズンの折り返しを迎えたここで大分固定メンバーの副作用というか、バックアップメンバーといかに戦っていくかという難題を突きつけられている感のあるチェ ルシー。これからカップ戦にCLと試合は相変わらず盛りだくさんなので、なんとかカップ戦あたりを有効活用して誰が出てもチェルシーフットボールができ るようになって欲しいですね。