うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【BPL#14】"Keep Calm and Get THREE"〜チェルシー v トッテナム・ホットスパー〜

絶賛過密日程中のプレミア。ミッドウィークのスタンフォード・ブリッジに迎えるは、同じロンドンに拠点を構えるスパーズ。前節サンダーランド相手に引き分けただけに、ホームで必ず勝ち点3を積みたい試合です。

 


両者スタメンはこちら。コスタをサスペンションで欠くチェルシーはトップにドログバを。ポチェッティーノ率いるスパーズは右SHにレノン を配置した布陣。なんだか、気づけばすっかり面子が若くなった感のあるスパーズ。個人的にはじっくりとポチェッティーノにやらせてあげれば、今後数年のう ちにそれなりに力のあるチームになる予感はしてるのですが。それではキックオフ。





◯15分間のイニシアティブを奪ったスパーズ
 
開始から15分間、試合の主導権を握りチェルシーの攻撃を黙らせることに成功したスパーズ。確認されたシステムは次の通り。


守備はトップのケインにプレスをかけさせ、4-5のような並びの2ラインでブロックを形成。中盤はタイトにボールホルダーへと寄せ、特に アザールが持ったときは複数での囲みを意識しているように見えました。特にボールへの寄せとともに、「パスコースを徹底して潰す」作業を同時進行で行うこ とでチェルシーのボールロストを早め攻撃の鎮圧に成功していたように思います。ちなみにある程度中盤でプレスかけても奪いきれないときは深追いせず、ライ ンを下げていました。


攻撃は中盤で引っ掛けて奪ったところからのショートカウンターと、レノンに預けてボールを運んでいくスタイルの2本柱。エバートン戦でもこのショートカウンターを発動させて得点をあげていました。

ショートカウンター以外のいわゆる遅攻の場合、そのほとんどがレノン経由だったわけですが、キリケシュがオーバーラップをする場面もそこ までなく(アザールを意識していたためと思われる)、また上がってきたところで個で打開するようなタイプでも無いので、どちらかというとカットインが有効 だったように感じます。

レノンが中央にカットインした時に、もれなくエリクセンとラメラが動き出すあたり、ポチェッティーノの与えた規律が守られているなあという印象です。このバイタルでの動き出しの徹底ぶりは、少なくとも筆者がスパーズを観た試合ではメンバーが変わっても守られていました。


といった感じで、中盤の制し合いを「ハイプレス+パスコース」潰しによって制したスパーズはケインのバー直撃ヘッダーなどチャンスをつ くっていきます。ケインのようなマークを外すタイプのストライカーにどうも弱いチェルシーのDFたち。うっ、チチャリートを思い出したら突然頭痛 が....

それと個人的な感想ですがベンタレブの肝の据わったボール捌きには改めて感心しました。ふとしたきっかけで化けるんじゃなかろうか。ちな みに、スパーズのベンタレブ&メイソンというダブルボランチですが、ベンタレブがフィルターおよびボール捌きという役割で、メイソンは割と行動範囲が広 く、前線までプレスをかける場面があればサイド深くにいる場面ありと、すごく節操のないやつでした(褒めてるつもり)。





◯ユニットで崩すということ

ケインの単独プレスにも関わらずあたふたしてピンチを招きかけたケーヒルのプレーもありながら、バー直撃のヘッダーを喰らったことで目が覚めたチェルシー

手始めにJTがボールを運びそのまま攻撃参加すると、そのままセスクのシュートまで繋がりました。「ちょっと人数かければ崩せそう?」というヒントを得ると、次の攻撃では右SHのウィリアンが左まで移りジャブを続けていきます。

すると一度右に渡ったボールをイヴァノが左へとサイドチェンジし、そこからアザールドログバとのワンツーで容易に崩して先制。この試合 通してなかなかに酷い出来だったロリスのミスもありましたが、それでもワンツーで一気にBOX内に侵入していく動きはスムーズで見事でした。

以前にも言っていたかもしれませんが、ドログバアザールはかなり相性良さそうです。お互いリーグアン出身、フランス語でもコミュニケー ションが取れるという影響もあるんでしょうか。このドログバアザールのユニット(連携)はひとつ武器として定着している感はあります。ユナイテッド戦で もアザールドログバのユニットで大きなチャンスをつくることに成功しています。

このユニットが「小さなユニット」としてピッチのあらゆる場所で(様々なポジションで)形成されていくとチームとしての完成度も上がって いくんじゃないかと。特にグアルディオラなんかはユニットオタクですよね。あそこは単なるユニットを越えて、「ボールとともに人の配置を動かしながら、ユ ニットとユニットとを結合していく」ようなところを目指してチームづくりをしている印象を受けます。





後半からはケーヒルに代わってズマがJTの相棒を務めます。スパーズは2列目の配置をいじり、右からラメラ、エリクセン、レノンという並び。

前半終了前にロリスのキックミスからドログバが追加点をあげたチェルシーは意図的にスパーズにポゼッションを譲ったことで、後半はスパー ズがボールを保持していく時間帯が続きました。意図的にスパーズにボールを持たせたと判断するに至ったのは、ウィリアンとアザールの守備位置の変化です。


前半、チェルシードログバを中心にオスカー&ウィリアンでプレスをかけていきました。アザールもプレスをしないわけではないですが基本的にはパスコースを潰す程度で、カウンターに備えてハーフラインより少し下がった位置でポジション取りをすることが多いです。
 


この画像を見ると、ウィリアンが完全に最終ラインに吸収されていることがわかります。逆サイドのアザールも、画像からは見切れていますが 同じような高さでの守備をしています。つまり4バックの横幅を狭くし、両端にウィリアン&アザールを置いた守備ブロックが後半チェルシーの守備隊形です。 スパーズにポゼッションをさせたくないという意図を仮にモウリーニョが持っていれば、恐らく少なくともウィリアンにはプレスをかけさせるor高い位置にポ ジション取りをさせると思われるので、「後半からはスパーズにボールを持たせた」という解釈でいます。


次いでポチェッティーノはレノンとメイソンを下げ、シャドリとパウリーニョを投入。正直言ってそこまで変化はありませんでした。モウリーニョドログバに代えてレミーをピッチに。

すると73分、ヴェルトンゲンの裏をとったレミーがそのままターンし、右足で冷静に流し込んで3-0。試合を決定付ける1点となりました。コスタがいなくとも代わりに入ったストライカー陣が結果を出すという状況に、思わずモウリーニョもガッツポーズ。

ズマの右足ロングフィードも披露され、開始15分を除いては終始危なげなく試合をコントロールしたチェルシー、ロンドンダービーを制しました。



FT:チェルシー 3-0 トッテナム・ホットスパー|Hazard(19'), Drogba(22'), Remy(73')

前節サンダーランド戦のドローを引きずらず、ここで快勝できたのは良かったですね。コスタがいなかったことでもしもこれがスコアレスとか だったら間違いなくメディアが「コスタいないとこれですか」とか騒いでいたので、モウリーニョも『コスタいなくとも代わりがこれだけやれる』と誇らしげに 試合後のインタビューに答えていました。次節はアウェイでニューカッスルという正念場。マティッチ欠場(サスペンション)の中、どうなるか。