うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【BPL#28】"A Nail-Biting Win"~ウェスト・ハム v チェルシー~

2015-03-10-03-01-06
 

 

無事にモウリーニョ帰還後初のタイトル奪取に成功したチェルシー、対するは同じロンドンに拠点を構えるウェストハム(以下「西ハム」)。シー ズン序盤ほどの勢いはないものの、中盤に3枚を敷いてガツガツ戦い、惜しみもなく前線にボールを放り込んでいく姿勢は特にアウェイだとかなり厄介。



両者のスタメンはこちら。チェルシーはこの試合でマティッチのサスペンションを消化。ミッドウィークのCLパリ戦から復帰となる見込みです。そし てこの試合も3列目にズマを置き、右SHにはラミレスを起用。 ホームの西ハムは、4-3-3の布陣。底にノーブルを置き、クヤテとノーランというガツガ ツコンビをその前に。両翼にはエネル・バレンシアとダウニングという配置。それでは、キックオフ。



〇3センターの利を活かしたアラダイス

 アンカーにズマが入ったこともあり、何とか前からプレスをかけチェルシーのビルドアップ精度を下げようとしたアラダイス。そこで3センターの利 を活かし、「中盤にノーブル+クヤテorノーランが揃う状態を維持し、状況に応じてクヤテorノーランを前線にあげる」というプレスのシステムを敢行。

 
 
 
 
中盤に3枚を揃えている3センターだからこそできるこのシステムによって、クヤテorノーランがプレス隊に加わりチェルシーの最終ラインに負荷をかけることに成功していました。なお、プレスが回避されたときは4-5-1でリトリート。

 攻撃に関しては、モウリーニョに「このスタイルをさせたら彼らの右に出るチームはない」とまで言わしめたほど極めている放り込みフット ボールが柱。「ボールを持ったらパスコースを探す?そんな必要はない。ただ前に向かって、そのボールを放り込めばいいんだ。」がアラダイスのモットーだと か何とか。この試合は開始わずか4分で負傷交代となったリードに代わってコリンズが途中出場となりましたが、アドリアンの方が精度が高いのか、最終ライン でボールを持ったコリンズがわざわざアドリアンにまでボールを戻して放り込ませているのには不覚にも笑いました。

 放り込み&ランによって、サコーがケーヒルやJTと競ってこぼれたボールを回収していく西ハム。中盤の経路を省き、手間をかけずにボールを前線へと運んでいきます。この放り込みに関しては、ズマも流石の跳躍力を見せ貢献していました。

'14 - 空中戦のこぼれ球を高い位置でエネル・バレンシアに拾われ、それを阻止するためにJTがファールをし、今季初のイエロー。3月に入ってやっと今季初のイエローというJTの驚異的なデータ。

'22 - ショートカウンターから、アザールが左ペナ角でボールを持ち、セスク⇒ラミレスと繋いで最後はアザールが頭で合わせて先制。

 序盤からチェルシーは右SHのラミレスを攻撃の起点とする場面が目立ちましたが、これにはあまりにもエネル・バレンシアが守備をしてい なかったという事実がひとつの要因としてあるのかなと。先制の前にも一度同じようなチェルシーのカウンターからラミレスがフリーになっていますが、エネ ル・バレンシアは中央辺りを徘徊していて、何をしたいのかよく分からないポジションをとっていました。
 
 
 
 
このように、先制点のシーンでも行方不明。また、前述したように中盤から1人を前に送り出すことでチェルシーのビルドアップ精度を下げ ることにはある程度成功した西ハムですが、特に被カウンター時の守り方においては、かなりバイタルを空けてしまうような状態が散見されました。ノーブルは 中盤底として常に帰陣してはいましたが、ポジションが後ろを意識しすぎて最終ラインに吸収されてしまうような恰好に。結果、バイタルのスペースをセスク、 オスカーあたりに使われていたような気がします。


――――― 後半 ―――――


 後半からアラダイスは両翼のエネル・バレンシアとダウニングのポジションをスイッチさせます。すると、右サイドに移ったダウニ ングを起点に有効的な攻撃を組み立てていく西ハム。流石はプレミア有数の高精度のボールを蹴ることができるダウニングといったところ。これに対してのチェ ルシーの守り方、特にBOX内での対応はなかなか酷く、中盤から飛び出してきたノーランを捕まえきれていないような場面もありました。クルトワの活躍もあ り何とかピンチを凌ぐわけですが、いつ失点をしてもおかしくないような状態。カウンターの機会は幾度かつくるも、実にならず。
 
'55 - カウンターからラミレスが決定機を迎えるも、シュートはポスト。
 
'57 - ラミレスがクロスに対してドンピシャのヘッダーを放つも、これはアドリアンがセーブ。どちらかひとつだけでも決まっていれば、試合は別物になっていたであろうに。

シュートは決められないラミレスでしたが、バイタル守備のケアに関してはここ数試合と比べてグンと良くなっていた印象です。 
 


右で起点をつくられ、セスクが守備に。これに応じてしっかりとズマに並ぶようにスライドした守備ができています。このラミレスの「右SHからボランチにスライドしていく」守備のシステムは、リーグ戦序盤のリバプール戦でも実行されていたものです。
 
'73 - オスカーに代わり、ウィリアン投入。オスカーは少しプレーに迷いが見えたかなと。ビルドアップ時に降りてきてボールを受けようとするのはいいんですが、ほとんどセスクが組み立てていて逆に前線に枚数が足りないような状態がありました。

'93 - コスタに代えて、ドログバ投入。

'96 - アザールに代えて、レミー投入。

再三ピンチを迎えながらも、クルトワのセーブありドログバの超絶キープありで、辛勝したチェルシー。貴重な勝ち点3を見事得ることができました。


FT:ウェスト・ハム 0-1 チェルシー|Hazard(22')

西ハムの中盤から前線にかけての威圧感と勢いに多少押されてしまった感のある試合でした。が、特にリーグ終盤ともなれば 結果こそすべて。COC優勝パレードであれだけ騒いだこともあり、負けは絶対に許されないような試合でしたがよく戦ってくれました。次はPSG戦、アフロ がロンドンに帰ってくる。