うるとらんぷす

「チェルシー」という単語に対する反応が人より2.7倍速いチェルサポによる備忘録。

【番外編】〜ブリッジたずねて三千里 1/2(ロンドン諸スタジアム)〜

今回は番外編です。というのも、2月にロンドンへと足を運んだので備忘録を兼ねてまとめてみようかなと。ロンドン観光というよりは、ロンドン周辺のスタジ アム巡りとなりました。写真中心となるため、ロードが重くなるかもしれません。悪しからず。※各スタジアムの最寄り駅は記載しますので、スタジアム巡りを 考えている方は是非ご参考まで。

 
 
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今回、ロンドンへのフライトはカタール航空さんにお世話になりました。長いフライトは個人的に嫌いじゃないので、お金>時間という選択でなんと 片道に費やした時間は23時間(トランジット込み)。これで浮いたのは4万程度。それでもフライト中はのんびりと、チェルシー関連の本や記事を読んだり。
 

ヒースローに着き、いざ市内へ。移動は基本的に地下鉄(UnderGround)を利用します。以下は地下鉄利用の際にきっと役に立ってくれるツールたち。


ロンドンの地下鉄マップ↓


乗り換え案内が検索できるアプリ↓
 
 

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▽クレイヴン・コテージ
【使用チーム】フラム
【最寄り駅】Putney Bridge(District線)
【駅からの距離】徒歩約10〜15分
 
ロンドンに着いてから、最初に訪れたスタジアムはクレイヴン・コテージ。最寄駅は地下鉄District線のPutney Bridge。歩いて10分ちょいで着きます。周りは静かな住宅街。
 
実はPutney Bridgeに着いて「さあクレイヴン・コテージへ」と思って颯爽と歩いていたのですが、ちゃんと地図を確認せずに歩き始めため、何となく駅から出てすぐ にある橋を渡ってしまい(違う方向です)、余計な時間ロスとなってしまいました。ところがどっこい。この時間ロスが思わぬ出会いを生んだのであります。
 
橋から戻り、正しい道のりに向かおうとしたとき、向かいからサングラスをかけた男の方が少し訛りのきいた英語で「クレイヴン・コテージの行き方 分かります?」と。ちょうどこちらもそこに向かっているところだ(もちろん一度方向間違えたなんてことは言わずに)と伝え、その男の人の連れの方2人(男 性と女性)と一緒にスタジアムへとテクテク。道中話をしていると、どうやらエストニアから来たそうで、ユナイテッドファンなんだとか。当方チェルシーサポ ですよ?と話を切り出すと、「オレらはテリーのこと大好きだぜ!なんてったって(例のCL決勝で)PK外してくれたからな」と先制ジャブを喰らう始末。そ んなこんなでお互いのサポとしてのアイデンティティーをぶつけ合いつつも、ロンドン来てクレイヴン・コテージを訪問先に選んだそのセンスをお互い認め合 い、その日控えていたゲームに皮肉たっぷりの「グッドラック」を贈ってお別れ。ちなみに、その日ユナイテッドは西ハムと引き分けました。パブでこのエスト ニア出身ユナイテッドサポのことを思いながらニヤニヤしたのは言うまでもなく。
 
クレイヴン・コテージはスタジアムツアーの予約が前もって必要なようで、ツアーには申し込んでいなかったため外観のみの見学になりました。独特 の古風な雰囲気を持つスタジアムですから、中を見たい方は是非スタジアムツアーを予約されてから行くことをお勧めします。ちなみに、マイケル・ジャクソン の銅像はもうありません。
 
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【使用チーム】アーセナル
【最寄り駅】Arsenal(Piccadilly線)
【駅からの距離】徒歩約3分
 
続いてのスタジアムはエミレーツ。Arsenal駅から本当に目と鼻の先にあるので、迷うことはまずないかと思います。階段を上がり通路を抜けるとスタジアムがお目見え。チェルシーサポながら、若干「おぉ」と唸りましたよ。若干。
 
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スタジアムへの入場はもちろんできませんが、スタジアム周辺を歩くだけでも結構楽しめます。犬の散歩や朝のランニングで訪れている人もちらほらと。
 

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FA杯優勝を大々的に主張するフラッグ。そりゃあ、滅多にタイトルなんて獲らないですものねえ。思わずパシャり。
 
 
 
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き、きみはだれ?
 
 
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【使用チーム】トッテナム
【最寄り駅】White Hart Lane(※Victoria線のSeven Sisters駅からNational Railという鉄道を使う)
【駅からの距離】徒歩約5分
 
快晴の中、続いて向かったのはホワイト・ハート・レーン。少し歩くと見晴らしの良いところにスタジアムが建っているので、すぐに見つけられると思います。
 
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スパーズは現在スタジア ム拡張工事中?なのか、周りには土木関係のおっちゃんが何人か。これも特にツアーを申し込んでいたわけではないので、ゲートをくぐることは出来ず。帰りに 友人にお土産でも買っていこうとオフィシャルショップに立ち寄ると…なんと閉店中。ぐぬぬ。スタジアムでお土産を買おうと思っている方は、オフィシャル ショップの営業時間の確認を忘れずに。もちろん、スパーズのオフィシャルショップに貢ぐためにわざわざ後日足を運ぶようなことはしませんでしたよ。バスに また乗るのも堪らなく面倒だったので(お土産はちゃんと買いました)。
 
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ロンドンの諸スタジアム巡りは短いですが、以上こんな感じ。次回はいよいよメインディシュのチェルシーでございます。練習場とかスタジアムツアーとか。
 
 
▽つづく
 
 
 
 
 

【BPL#28】"A Nail-Biting Win"~ウェスト・ハム v チェルシー~

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無事にモウリーニョ帰還後初のタイトル奪取に成功したチェルシー、対するは同じロンドンに拠点を構えるウェストハム(以下「西ハム」)。シー ズン序盤ほどの勢いはないものの、中盤に3枚を敷いてガツガツ戦い、惜しみもなく前線にボールを放り込んでいく姿勢は特にアウェイだとかなり厄介。



両者のスタメンはこちら。チェルシーはこの試合でマティッチのサスペンションを消化。ミッドウィークのCLパリ戦から復帰となる見込みです。そし てこの試合も3列目にズマを置き、右SHにはラミレスを起用。 ホームの西ハムは、4-3-3の布陣。底にノーブルを置き、クヤテとノーランというガツガ ツコンビをその前に。両翼にはエネル・バレンシアとダウニングという配置。それでは、キックオフ。



〇3センターの利を活かしたアラダイス

 アンカーにズマが入ったこともあり、何とか前からプレスをかけチェルシーのビルドアップ精度を下げようとしたアラダイス。そこで3センターの利 を活かし、「中盤にノーブル+クヤテorノーランが揃う状態を維持し、状況に応じてクヤテorノーランを前線にあげる」というプレスのシステムを敢行。

 
 
 
 
中盤に3枚を揃えている3センターだからこそできるこのシステムによって、クヤテorノーランがプレス隊に加わりチェルシーの最終ラインに負荷をかけることに成功していました。なお、プレスが回避されたときは4-5-1でリトリート。

 攻撃に関しては、モウリーニョに「このスタイルをさせたら彼らの右に出るチームはない」とまで言わしめたほど極めている放り込みフット ボールが柱。「ボールを持ったらパスコースを探す?そんな必要はない。ただ前に向かって、そのボールを放り込めばいいんだ。」がアラダイスのモットーだと か何とか。この試合は開始わずか4分で負傷交代となったリードに代わってコリンズが途中出場となりましたが、アドリアンの方が精度が高いのか、最終ライン でボールを持ったコリンズがわざわざアドリアンにまでボールを戻して放り込ませているのには不覚にも笑いました。

 放り込み&ランによって、サコーがケーヒルやJTと競ってこぼれたボールを回収していく西ハム。中盤の経路を省き、手間をかけずにボールを前線へと運んでいきます。この放り込みに関しては、ズマも流石の跳躍力を見せ貢献していました。

'14 - 空中戦のこぼれ球を高い位置でエネル・バレンシアに拾われ、それを阻止するためにJTがファールをし、今季初のイエロー。3月に入ってやっと今季初のイエローというJTの驚異的なデータ。

'22 - ショートカウンターから、アザールが左ペナ角でボールを持ち、セスク⇒ラミレスと繋いで最後はアザールが頭で合わせて先制。

 序盤からチェルシーは右SHのラミレスを攻撃の起点とする場面が目立ちましたが、これにはあまりにもエネル・バレンシアが守備をしてい なかったという事実がひとつの要因としてあるのかなと。先制の前にも一度同じようなチェルシーのカウンターからラミレスがフリーになっていますが、エネ ル・バレンシアは中央辺りを徘徊していて、何をしたいのかよく分からないポジションをとっていました。
 
 
 
 
このように、先制点のシーンでも行方不明。また、前述したように中盤から1人を前に送り出すことでチェルシーのビルドアップ精度を下げ ることにはある程度成功した西ハムですが、特に被カウンター時の守り方においては、かなりバイタルを空けてしまうような状態が散見されました。ノーブルは 中盤底として常に帰陣してはいましたが、ポジションが後ろを意識しすぎて最終ラインに吸収されてしまうような恰好に。結果、バイタルのスペースをセスク、 オスカーあたりに使われていたような気がします。


――――― 後半 ―――――


 後半からアラダイスは両翼のエネル・バレンシアとダウニングのポジションをスイッチさせます。すると、右サイドに移ったダウニ ングを起点に有効的な攻撃を組み立てていく西ハム。流石はプレミア有数の高精度のボールを蹴ることができるダウニングといったところ。これに対してのチェ ルシーの守り方、特にBOX内での対応はなかなか酷く、中盤から飛び出してきたノーランを捕まえきれていないような場面もありました。クルトワの活躍もあ り何とかピンチを凌ぐわけですが、いつ失点をしてもおかしくないような状態。カウンターの機会は幾度かつくるも、実にならず。
 
'55 - カウンターからラミレスが決定機を迎えるも、シュートはポスト。
 
'57 - ラミレスがクロスに対してドンピシャのヘッダーを放つも、これはアドリアンがセーブ。どちらかひとつだけでも決まっていれば、試合は別物になっていたであろうに。

シュートは決められないラミレスでしたが、バイタル守備のケアに関してはここ数試合と比べてグンと良くなっていた印象です。 
 


右で起点をつくられ、セスクが守備に。これに応じてしっかりとズマに並ぶようにスライドした守備ができています。このラミレスの「右SHからボランチにスライドしていく」守備のシステムは、リーグ戦序盤のリバプール戦でも実行されていたものです。
 
'73 - オスカーに代わり、ウィリアン投入。オスカーは少しプレーに迷いが見えたかなと。ビルドアップ時に降りてきてボールを受けようとするのはいいんですが、ほとんどセスクが組み立てていて逆に前線に枚数が足りないような状態がありました。

'93 - コスタに代えて、ドログバ投入。

'96 - アザールに代えて、レミー投入。

再三ピンチを迎えながらも、クルトワのセーブありドログバの超絶キープありで、辛勝したチェルシー。貴重な勝ち点3を見事得ることができました。


FT:ウェスト・ハム 0-1 チェルシー|Hazard(22')

西ハムの中盤から前線にかけての威圧感と勢いに多少押されてしまった感のある試合でした。が、特にリーグ終盤ともなれば 結果こそすべて。COC優勝パレードであれだけ騒いだこともあり、負けは絶対に許されないような試合でしたがよく戦ってくれました。次はPSG戦、アフロ がロンドンに帰ってくる。




 
 

【COC決勝】"First Of Many"〜チェルシー v トッテナム〜


タイトルを獲得していないのなら、いくら美しいフットボールをしようとも人びとの記憶からすぐに忘れ去られてしまう -ジョゼ・モウリーニョ

チェルシーに帰還した初年は、失意の無冠。今季このような言葉で新生チェルシーのタイトル奪取の必要性を説いたモウリーニョは、キャピタ ル・ワン・カップ決勝でスパーズを迎えました。リーグでは相手の本拠地で3-5と苦杯を舐めさせられただけに、絶対に負けは許されない決勝。そんなチェル シーの前に、「マティッチ欠場」という緊急事態が発生。さてどうする。



両者スタメンはこちら。モウリーニョの出した答えはズマのアンカー起用。4-3-3の陣形をとり、中盤の前にはセスクとラミレスを並べました。対するスパーズはリーグ戦でチェルシーDFを粉砕したエリクセン、ケインらを前線に置いた人選。それでは、キックオフ。


〇右WGイヴァノヴィッチを捨てたモウリーニョ

試合開始からボールを持つのはスパーズ。チェルシーはズマのアンカー起用が影響してか、ビルドアップを丁寧にしていって崩すというような意図はないように見えました。なので、恐らくはスパーズがボールを持つという展開も予想しきっていたと思います。

いつもは右サイドで高い位置をとり起点となるイヴァノも、基本的には最終ラインに残り常にフルバック(4バック)が揃っている状態をキープ。

チェルシーのカウンターとして見られた約束事は「ボールを持ったらまずは左に流れたコスタに預けましょう」ということ。コスタが左に流れ て起点をつくる動きはリーグで対戦したときにも実行されていました。コスタは得意の「アマゾンに生息する動物たちのじゃれ合い」みたいなノリでDFに突っ かかっていき存在感を示すも、なかなかチャンスというチャンスはつくれず。

スパーズの攻撃は、ベンタレブを中心にボールをキープしながら組み立てていくという感じ。普段頻繁に行われる「シャドリとタウンゼントを 同サイドに集結させる」という手法はそこまで繰り返し行われていませんでした。むしろシンプルにケインに縦パスをあてていくパターンが多かったかなと。

常にフルバックを維持しつつ、カウンターはコスタと+αで最小限の人員をかけるという守備構築優先のアプローチは、いかにもモウリーニョらしいなあと思いました。



〇ズマのアンカー起用

マティッチ不在という緊急事態に対してモウリーニョが施した対処は、ズマのアンカー起用。マティッチがいないことで懸念されたのは兎にも 角にも「バイタルの守備をどうするか」ということだったかと思います。そしてそれはすなわち、バイタルでのエリクセンとケインの絡みをどうシャットアウト するかということ。アンカーとトップ下が噛み合う形でエリクセンとズマが重なりあう場面が多くありましたが、エリクセン番をズマが遂行できたかと言われる と、どうかなと。
 


エリクセンに背後をとられ、見失うような場面はこのシーン以外にも幾つか見られました。また通常2枚のボランチを敷いてバイタルを守る チェルシーですが、この日は4-3-3なので、いかにして「セスク&ラミレスという中盤の2人で、ズマが持ち場を離れた時にバイタルのスペースを埋められ るか」が最重要ポイントだったのかと思います。この点に関しては、セスクとラミレスのネガトラ不整備を露呈してしまったかなと。
 
むしろ逆にスパーズはエリクセンでズマを釣ったときに、バイタルに飛び込む選手が足りないように思えました。先述したようにシャドリとタウンゼントの流動性はもう少し普段見られるのですが、両選手ともにサイドに張るような動きが主だっていました。
 


リーグ戦でチェルシーのバイタルを攻略したときは、このようにエリクセンボランチを釣って空いたスペースにシャドリが飛び込めています。

その意味では、エリクセンのズマを釣るランでバイタルを空けたときのターゲットがケイン単発だったので、チェルシーの守備陣は的をケインに絞り、ケインに楔が入ったときは素早く寄せることができていました。




'45 - 前半終了する直前のセットプレー。ウィリアンが放ったボールがズマに当たり、こぼれ球をJTが蹴り込んで先制。ボールを持たれていてもセットプレーで ちゃっかり得点奪っちゃったチェルシー、時間帯を考えてもスパーズには精神的にかなり重い1点を与えることに成功したかなと。


――――― 後半 ―――――


後半になっても全体的な構図は変わらず、スパーズがボールを持たされるような展開。チェルシーとしては変わらずフルバックを保ち、ズマが持ち場を離れたときのバイタルスパースのケアに関してはハーフタイムで修正が入ったか、セスクとラミレスの意識も改善されていました。


'56 - スローインの流れから、バイタルでボールを持ったセスクが左で張っていたコスタに出し、コスタがウォーカーを振り切ろうかというところでクロス。このボールがウォーカーにディフレクトして、ボールはゴールへと吸い込まれました。チェルシー、大きな大きな追加点。


'62 - ポチェッティーノはタウンゼントに代えてデンベレを投入。タウンゼントとクエ太のマッチアップはクエ太の完封勝利。相変わらずクエ太の対人能力の高さには唸らされます。


雨足が強くなるウェンブリー。まだ1点返せば空気を変えることができると信じて攻撃をやめないスパーズ。それでも決定的なチャンスはつくれません。ラミレス、ウィリアンの運動量が光る。

ソルダードが入ったあたりから、ケインは右SHのようなポジションでクエ太と対峙。それでもクエ太はそこまで仕事をさせません。


'93 - 優勝が決まる直前のところで、コスタに代えてドログバを投入。こういうところ、モウリーニョの憎いところ。


そして待望の試合終了のホイッスル。チェルシー、見事にCOCのタイトルを勝ち取りました。


FT:チェルシー 2-0 トッテナムJT(45'), Walker(56')※OG

マティッチ不在という緊急事態にも、ズマのアンカー起用で応急措置を施したモウリーニョ。決勝という一発勝負での勝負強さをまたも示すよ うな試合になったと思います。試合後には、優勝までの道のりにはクルトワやルイス、クリステンセンの活躍があったことに言及し、あくまでもチーム全員で勝 ち取ったタイトルであることを主張。これで今季タイトル1/3は達成ですね。あと2回優勝祝えるといいなあ。






【CL#7】"A Tight Night, still Bright"〜PSG v チェルシー〜

 

CLもついにベスト16が出揃いまして、ここから更に熾烈な戦いが待っているわけですが、リーグ、カップ戦、CLという3冠をあわよくば狙っ ているチェルシーは、昨季同様PSGと相見えることに。PSGのホーム「パルク・デ・プランス」といえば、昨季1-3という苦杯を舐めさせられた場所 (2ndLegの逆転劇の影に隠れがちですが)。早朝からもうあんなにハラハラする思いは勘弁ということで、結果に胸を張ってロンドンに帰りたいチェル シーであります。

 


両者のスタメンはこちら。PSGはこの試合の前のリーグ戦で、1試合に4人もの負傷者を出すトラブルが発生したそうで、中盤の底には、元 チェルシーダビド・ルイスインサイドハーフには、ヴェラッティとマテュイディが名を連ねました。対するチェルシーも、怪我人や病人など厳しいチーム事 情を抱えマティッチの相棒にはラミレス、セスクが1列あがったトップ下での起用となりました。コスタは3週間のサスペンションから明け、無事に実戦復帰。 それではキックオフ。



〇ブランによる守備構築からの試合へのアプローチ

 この試合でまず目を惹いたのは、PSGの守備。イブラヒモビッチがトップということも影響してか、前線からプレスを全力でかけてくるよ うなことはしません。むしろ、イブラヒモビッチは歩いています。じゃあPSGはどういう守り方をしたのかというと、チーム全体としての共通認識として持っ ていたのが「パスコースを遮断する」という守り方です。

4-3-3というフォーメーションを敷いてきたブランはルイスをアンカーとした4-1-4-1のような布陣に変形させ、チェルシーが最初 にボールを持つ最終ラインorマティッチにプレッシャーをかけるのではなく、そのパス供給先であるセスクやウィリアン、アザールといったターゲットになり 得る選手へのマークを徹底させました。


PSGの守備システムがひとつ嵌ったシーンがこの10’の場面。
今季のチェルシーの攻撃における特徴のひとつとして、「2列目の流動性によって、選手同士が限りなく近い距離でプレーをする」ということ が挙げられるかと思います。実際にピッチ上では、ウィリアンとアザールが限りなく近い距離で、なおかつセンターサークル付近、すなわち中央でボールを受け ようとする動きが散見されました。
 
 
ここにマティッチがアザールへの楔のボールを無理矢理にでも入れたため、ハイラインによって最終ラインからの素早い寄せを可能にしたPSGに守備網に引っかかり、マテュイディチアゴ・シウバに囲まれボールロスト。ピンチを招いています。

この「パスコース遮断」という守られ方をされたチェルシーは、プレミア特に下位相手ではケーヒルなりマティッチが強引に自らボールを前に 前進させるようなドリブルという解決策を打ち出すことができるのですが、ここはCL。持ち運んで取られようものならば、すぐにでも得点に結び付けられてし まいます。またボールを持たされる時間が長かったマティッチにはセスクまでのビルドアップ能力はなく、パスコースを遮断されパスの出しどころに迷う姿が何 度も目撃されています。

この守備システムの強度をさらに引き上げる要因をとなったのは、インサイドハーフの一角・ヴェラッティだったのではないかなと。中盤の制 し合いにおいて身を投げ出すことを厭わず、イエローぎりぎりのラインでの守備をもってひたすらボールを狩っていました。ちなみに、PSGの攻撃時に時間と リズムをコントロールするのもヴェラッティ。その献身性は後半になっても落ちることはありませんでしたね。相変わらずボール取られないし。



攻撃への組み立てを押さえ込まれてしまったモウリーニョですが、20'あたりからチームに変化が。
 
 
それまでボールを最初に持つ役割がマティッチであったのが、セスクが最終ラインまで降りてビルドアップに加担する動きが出始めました。そして ウィリアンとアザールはポジションスイッチを敢行。立ち上がりに比べてだいぶ幅を意識したワイドにポジションを取る動きが見られました。

36' - セットプレーの流れから、左サイドからJTがあげたクロスをケーヒルがフリックし、BOX内のイヴァノが頭で合わせてゴール。ディフェンダーの、ディフェンダーによる、ディフェンダーのためのゴールです。チェルシーの守備陣の攻撃力ほんとどうなってるんだ。

攻撃に関して。個人的には、ロングボールのターゲットがずっとコスタになっていたし、コスタ1人でチアゴ・シウバマルキーニョス(+ル イス)というディフェンダーたちに競り勝てというのも無理な話なので、ウィリアンやアザールにサイドの裏取りをさせても良かったんじゃないかと思っていま す。相手のSBとのマッチアップならウィリアン、アザールに十分ん勝機もあったでしょうし。ただ、20'あたりから見られた修正は少なくとも最低限のテコ 入れにはなったんじゃないかなと。このおかげでいくらか攻撃にリズム出始めました。


――――― 後半 ―――――



〇4バックの幅

 後半になると、攻勢を強めたのはPSG。ヴェラッティを中心に後方でポゼッションを高め、マテュイディをバイタル付近に置くことで連携 して崩す際の「つなぎ」としての役割を与えていました。前半と比べると明らかにPSGによる攻撃のキャラクターが立った要因としては「意識的にBOXの角 付近(いわゆる「ペナ角」と言われていますけど)を使うようになった」ことを推したいと思います。 
 


まずチェルシー側の反省点としては、「前半のように全体のラインを一定の高さに保てなくなった」という点があります。どうしても疲労から か、ラインを押し込まれてしまっていました。これによってサイドバックインサイドハーフの選手がより攻撃にウェイトがかけられるようになったPSGは、 左サイドに主に起点をつくるような攻撃の手立てを見せます。チェルシーの最終ライン(=4バック)の幅が試合を通して狭いという状況にあったので、ペナ角 攻撃をやられてしまうと、どうしてもボランチがそこをカバーしなくてはならない事態が発生。さらに悪いことに、このカバーをマティッチ、ラミレス、はたま たセスクのうち誰が行くのか、恐らくとり決められていないようでした。 
 


あとは何度か前半にも裏への抜け出しを許していたファン・デル・ヴィールにも、クエ太とアザールの間のスペースにパスを出され抜けられるシーンがいくつか。4バックの幅に対してアザールが外に開きすぎた守備のポジションをとっていたので、利用された形。

それでもアザールは「ファールを稼いで自陣ボールにするという」という意味で、獅子奮迅の活躍。これで1人くらいの退場まで稼げるように なってくると、いよいよ人間やめちゃった世界に足を踏み入れることになるかなと。逆に言うと、アザールへのファールくらいでしか、自分たちのボールにする ことができなかったチェルシーという見方をすることもできます。



54' - 左サイド、マテュイディのクロスをカバーニに合わせられ、同点弾を献上。ラミレスのポジションもよく分からなかったし、あそこまでBOX内に守備の枚数揃っていたのに、全員ボールウォッチャーになっていたという失態。ただ、クロスはお見事でした。

その後も攻勢を強めるPSGは逆転を狙い猛攻をしかけるも、クルトワという壁が立ちふさがり、なんとか虎の子のアウェイゴールを守りきったチェルシー。試合運びを考えても、アウェイドローで満足といった感じ。


FT:パリ・サンジェルマン 1-1 チェルシー|Ivanovic(36') / Cavani(54')

「勝利に近かったのは相手のほう」というモウリーニョの言葉通り、特に後半はひたすら守りを強いられた試合でした。ただそれでも1-1と いうスコアにとどめておけるのがモウリーニョイズムであり、このチームの強さかなと。クルトワに関しては圧巻のパフォーマンスで、このドローはクルトワが もたらしたドローと言っても過言ではないでしょう。次戦はホームでのバーンリー戦。最近ホームでバーンリー相手に引き分けたチームがあるそうなので、気を 緩めずに。

〜The Guardian|2人のコスタ〜


Guardianにコスタのインタブーが記載されていたので、日本語におこしました。プレミアへの適応やチェルシーに至るまでのキャリア、故郷でのプロジェクトなど、なかなか知れないコスタを見ることができましたので是非。

元記事はこちら



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  午を過ぎた頃、郊外サーレーにある隠れたフォトスタジオ でジエゴ・コスタは忙しそうにしていた。現在、このチェルシーのストライカーは試合から離されている。それでも、サスペンションの期間に体を鈍らせないよ うにとコバムで行われる練習に参加し、いつも通りの楽しい時間を過ごした。スポンサーとのスケジュールで追われているものの、やはり3試合の出場停止は彼 を退屈に、そして憂鬱にしている。復帰戦となる来週火曜日のPSG戦までは、まだ少し待たなければならない。


ここ数週間ピッチか ら離れ、先月末にマンチェスター・シティスタンフォード・ブリッジを訪れた時にはハムストリングを痛めていたセスク・ファブレガスと共にイーストスタン ドに腰を下ろし、ヴィラ・パーク、続いてエバートンが惜敗したミッドウィークの試合でもチームのマッサージ師に囲まれダグアウトで戦況を見つめていたコス タはこう言う。

「プレーできないのは憂鬱だ。ピッチでチームメイトを助けてやることもできないなんて。試合が拮抗していて激しいと、ダグ アウトで居ても立っても居られなくなる。もし試合の行方が決まっていたり、チームが相手を支配しているようなら落ち着いて観ていられるんだけど。オレはす ぐアツくなるんだ。」

水曜日のエバートン戦での、ハラハラするような場面でダグアウト前のバリアを叩く姿は、彼の試合への心意気を確かに証明している。

中 立的な立場で見れば、コスタの今の状況を招いたのは紛れもなく彼自身だ。仮にキャピタル・ワン・カップ準決勝リバプール戦において故意的にエムレ・ジャン の脛を踏んでなかったとすれば、マイケル・オリバー主審や定期独立委員会によって暴力行為とみなされ、サスペンションを受けることも無かったはずだ。彼の 監督はいつものようにこの決定に賛同せず、怒りに溢れている。当のストライカーは、この件に関しての自分の意見は十分伝えたとし、"無罪"を主張するスタ ンスをとり続けている。

「故意的なものではないさ。ビデオを見てみてよ。」

彼の曲がらない姿勢は明らかだ。このアプロー チを変える必要もない。CLで再びピッチに戻ってきた時には、今季マンチェスター・シティのヴィンセント・コンパニーやパブロ・サバレタリバプールの マーティン・シュクルテルやママデュ・サコー相手にしているように、パリの守備の心臓部であるチアゴ・シウバダビド・ルイス相手にも変わらずアグレッシ ブで自信を削ぐようなプレーをすることだろう。または、もしかすると、昨年4月にアトレティコの選手としてスタンフォード・ブリッジに足を運びジョン・テ リーとマッチアップした時のようかもしれない。競争力溢れる精神はこれまでも、これからもずっと受け継がれていく。彼は自身で、ピッチ上では"自らを変身 させる"と言う。その獰猛さ無くしては、恐らくプレミアリーグ19試合で17ゴールを挙げるような選手にはなってはいないだろう。

ジャンの一件以降、主審や専門家たちからの厳しい目であったり、相手選手が試合中のコスタとの接触を利用してくるといった事は避けれない。"喧嘩は買う"選手であることはロジックが示している。

「オレは長いことディフェンダーからの標的とされてきて、彼らに蹴られることにも慣れている。」

彼のこの言葉に頷く、インタビューを取り囲んでいたエージェントたち。

「も うこういった事に関しては慣れっこなんだ。オレだってファイトするしタックルもする。ちょっとした接触でグチグチ言ってくるようなディフェンダーも中には いるけど。でもオレの中では、試合が終わったその瞬間、試合中に何があってもそこで線引きをする。お互いに握手をしてピッチに全て置いていくんだ。

レフェリーたちは、オレが怒る前にどれだけ殴られたり蹴られているかをよく見るべきだよ。まあここイングランドのレフェリーはみな優秀でプロフェッショナルだから、ピッチ上で起こることをよくわきまえているし、きちんと理解していると思う。」

「試 合前に、誰か特定の選手をターゲットにしてそいつの弱みを利用してやろうとなんかは思わない。キックオフの前に誰かをターゲットにしたとして、その選手と 試合中にファイトをしたら本来オレが試合ですべきことから集中が削がれてしまうし、うまくプレーができなくなる。チアゴ・シウバダビド・ルイスと乱闘す るために試合に向かったとすれば、自分自身のプレーをコントロールすることができなくなるだろうね。彼らはふたりとも偉大な選手であり、偉大なディフェン ダーだ。ピッチで言い合いになるかもしれないし、接触だってあるだろう。でもそれは意図するようなことじゃない。その時の感情によるものだ。闘いなんだ。 オレの目的はゴールすることであって、チームのためにできる限りの良いプレーをすることにある。」

コスタは、昨シーズンのラ・リーガにお ける被ファール数最多の選手だ。被ファール数はクリスティアーノ・ロナウドリオネル・メッシをも上回る。当時のチームメイトたちはその逞しさを歓迎し、 インスピレーション、ひいては活気の源とした。ヴィセンテ・カルデロンとベルナベウでは、お決まりと言うほどにセルヒオ・ラモスとの熱い闘いが見られたも のだ。それでも、そんなコスタをスペイン代表に入るよう説得したのもこのディフェンダーである。

この荒々しい獰猛さこそ、彼の波瀾万丈な フットボールキャリアの産物だ。ヨーロッパの豪華なクラブのアカデミー、ではなくブラジルのセルジーピ州ラガルトという街のストリートで育て上げられたコ スタは、14歳で従兄弟の衣服洋品店の手伝いをするために親元を離れ、2000km離れたサンパウロへと移った。そこで叔父のエジソンと暮らした。エジソ ンの営むお店にはよく地元のサッカーコーチらが足を運んでいた。そんな中で、市の南部にあるファヴェーラ(貧困街)のバルセロナ・エスポルティーボ・カ ペーラというクラブでコスタの名は知られてゆく。月に£100ほど稼いでいた当時のコスタは、最初のファーストチームの練習で、チームで最も有望視されて いたフェリペというディフェンダーを、殴ったのである。"プロフェッショナル"としての感覚を味わった瞬間だ。

ユースで印象的な活躍を見 せるも、サンパウロパルメイラスといった次のステップとなるクラブへの昇格は叶わなかった。その時、ジョルジュ・メンデスの下で働くひとりのスカウトが 18歳のコスタのプレーを目にする。その実、相手選手を殴ったとしてバルセロナECから120日間のサスペンションを言い渡された直後であるが。

メ ンデスによってコスタはブラガを始めとし、スペインとポルトガルで5つのクラブにローンで在籍、4回の完全移籍と、欧州のクラブを農牧民のごとく転々とし た。その期間は地に足つかず、自信喪失させるようなものであっただろう。それでも、2007年のブラガ、3年前のバジャドリードと計2度メンデスに対しア トレティコに自身を獲得するよう促すことを頼んだほどに、成功を掴むための欲は計り知れなかった。

フットボールはオレの人生で、それ以 外のことをする自分なんて想像もできない。ここに来るまでに幾多の出来事を乗り越えてきた。そして今求められているのは、このレベルを維持すること。世界 最高峰の中で自分の居場所を確保するためには、より良い選手、そしてより良い人間にならなくてはいけないんだ。明日など無いと言い聞かせて、ひたすら努力 し成長するのみ。今は与えられている全てのことに感謝しているよ。周囲から頼りにされていると感じるし、ここに辿り着くまでに通った道のりを振り返ること ができる。願っていたような人生を家族と過ごすことができて嬉しい。これはオレ自身の責任でもある。」

彼がしたのは家族のためだけではな い。ブラジルの北東部サバンナにある、赤いレンガの家が立ち並ぶ閑散とした町ラガルトには、およそ100,000の人々が住んでいる。その町でコスタは、 「ボーラ・ジ・オウロ(直訳して『黄金のボール』)」という名の非利益フットボールアカデミーを支援している。タイヤの跡で荒れ果て、練習さえままならな かった芝で幼少期のコスタはプレーをした。それも今はタバコ・プランテーションの隣のエリアへと場所を移し、設備の充実や組織の構築など、環境は様変わり している。メディカルセンターには、これから更に機能が加えられる予定だ。教室も用意され、外には3つピッチが広がり、そこでは17歳までの地元の子ども たちが約230人に渡って遊んでいる。この変革は、地域にポジティブな影響をもたらしている。

昨年の夏、"ラ・ロハ"の一員としてグルー プリーグ開幕戦オランダとの試合に臨みサルバドールのスタジアムに姿を現わしたコスタには、多くのブラジル人が怒りとともに冷たい声援を送ったが、ラガル トのメインスタンドはスペイン代表のレプリカユニフォームを身に纏う地元の人たちで一杯だった。

「このプロジェクトは、世界最高の選手た ちをクライアントとして抱える代理人の助けのなか、故郷の子どもたちに扉を開くことになればという願いをもって始めたんだ。当時のオレが掴むことのできな かったようなチャンスを彼らははきっと掴むことができる。親と離れることはなく、ドラッグからも手を切り、良い環境に囲まれてきちんとした歩みをするん だ。この地域にとってはポジティブなことばかりだよ。

ラガルトは小さな町でフットボーラーになりたと願う子どもたちにとっては、チャンス なんてほとんどゼロなんだ。だからこのプロジェクトはきっとチャンスを与えてくれるだろうし、ここではしっかりとしたプロフェッショナルたちも働いてい る。まだ成長の段階にあるけど、ピッチやその他諸々のことはオレがここにいた時よりも遥かに良いものが整えられている。食や医療といったサポートもね。困 難な時期にある子どもがいれば先生やコーチがいつだって助けとなる。このアカデミープロジェクトのメインの目的は、あくまでも教育だよ。プロのフットボー ラーたちを輩出することじゃない。授業への出席は義務だ。授業をサボれば練習への参加は認められない。みんながみんなフットボーラーという夢を叶えられる わけじゃないよ。でもこのアカデミーに通うことで、人間として確かに成長することができる。失うことよりも、得るものの方が大きいんだ。


未 来への財産を残そうというその望みは聡明であり、「どんな痛みも通用しない野性味溢れる目つきをした雄羊」というコスタ像とは相反するものである。彼は、 アトレティコ時代リバウンドを押し込もうとゴールポストに衝突し骨が見えるほどに脚を切ったにも関わらず、当時の監督であったディエゴ・シメオネにポスト の方を心配するよう伝えたほどだ。

「切り傷なんかじゃあタイガーは痛がらない。まあ、私が気の毒に思うのはポストの方だ。」と、アトレティコの監督は言う。


「ア トレティコ時代にすでに成長は見せていた。けど、個人的には更に一回り成長したいと年々願っていたんだ。だからこそ、道を示して指導してくれるメンターが いるというのは本当に重要なことだよ。ジョゼ・モウリーニョはいつもオレに何を求めているのかを明確にしてくれている。ただゴールするだけじゃなくハード ワークをしろとね。ハードワークこそが彼の求めることだ。今に至るまで、チェルシーで色々なことが本当にうまく行っている。」

「ここには 昨年シーズンのアトレティコに似た団結力がある。みなが同じ目的を共有しているんだ。グループとして成功するために必要な要素さ。セスクのような選手はス ペイン代表で一緒にやっているというのに加えて、オレの動きを読んでゴールのチャンスを何度も演出してくれる。パスに関しては本当に恵まれたものを持って いるよ。」

このふたりのペアはすでにピッチ上でテレパシーに近い関係を築いているが、それでも、コスタの英国フットボールへの適応の早さには息をのまされるところだ。

来 週、この男はきっと再びピッチ上の闘いへとその身を飛び込ませ、PSGやバーンリーは3週間ものあいだ"お預け"をされていた彼のフラストレーションの爆 発を目にするだろう。コスタは自身のスタイルを曲げないどころか、かつてないほどにその存在感を示したがっている。チェルシーのいたずら好きなバックルー ムスタッフは、最近コスタのことを「Saint(=聖人)」と描写した。では、彼は自身をどう描写するのだろう?

「ああ、それでいこう。オレをSaintと呼んでくれ」


Interview by Dominic Fifield

~2015年冬の移籍市場まとめ~

   《IN》
【MF】
ファン・クアドラード - £26.8m(フィオレンティーナ


   《OUT》
【GK】
マーク・シュウォーツァーレスター・シティ / フリー)

【DF】
トーマス・カラス(ミドルズブラ / ローン)
ライアン・バートランド - £10~12m(サウサンプトン

【MF】
ナサニエル・チャロバ(レディング / ローン)
マルコ・マリンフィオレンティーナ / ローン)
トッド・ケイン(ノッティンガム・フォレスト / ローン)
ルイス・ベイカー(シェフィールド・ウェンズデイ
アンドレ・シュールレ - £22.5m(ヴォルフスブルク
ハメド・サラー(フィオレンティーナ / ローン)
ジョン・スウィフト(スウィンドン・タウン / ローン)
アレックス・キウォミヤ(バーンズリー / ローン)

【FW】
スティペ・ペリツァ(ウディネーゼ / ローン)
フェルナンド・トーレスACミラン / フリー)

【BPL#23】"Mind The Gap"〜チェルシー v マンチェスター・シティ〜

 

プレミア第23節にしてやってきた最大の天王山。首位チェルシーのホームに乗り込むは、勝ち点差5を2に縮めるというミッションを課せられたマンチェスター・シティ。これはプレミア天王山であって、決してオイル・ダービーなんかじゃあありませんよ、ええ。 

 


両者のスタメンはこちら。チェルシーはセスク(ハムストリング)、コスタ(ミッドウィークのリバプール戦でジャンを踏みつけたことに対す る3試合出場停止のサスペンション)、そして移籍が目前と言われているシュールレ&サラーを欠いたメンバー構成。ミケル欠場の理由はわかりません。という のも、シティ戦前日のプレカンをモウリーニョが「激おこぷんぷんキャンセル」したのでチーム事情が掴めないのです。

対してシティはヤヤ・トゥレと新加入のボニーをAFCON(アフリカン・ネーションズ杯)で欠き、ナスリは怪我で離脱中。ボランチをフェルナンドとフェルナンジーニョのフェル&フェルコンビ、右SBにはサバレタではなくサニャを起用してきました。それではキックオフ。



〇ビルドアップの破棄

立ち上がりから見られたのは、両者ともにラインを高めに設定した中での中盤のボールの攻防戦。どちらが一方的にボールを保持するでもなく、お互いの選手がピッチ中央付近に固まるような構図が目立ちました。トランジションの激しい非常にイーブンな展開だったと言えます。

「最終ラインからひとつボールを前に出せばもうそこは戦場」みたいな状況だったので、チェルシー、シティはお互いともにビルドアップを破 棄。正確に言えばビルドアップの位置を最終ラインまで下げるような恰好。チェルシーだとズマやJT、シティの場合はコンパニがボールを供給する役割を担っ ていました。ちなみにシティの組み立てを邪魔する手として、モウリーニョはマティッチをシルバ番としてつけていました。

中盤で繰り広げられるボールの奪い合いから避けるようにして、チェルシーは早めにアザールにボールを預けるような攻撃の組み立てをしてい きます。この試合はサバレタではなくサニャが右SBに入っていましたが、なかなかアザールに手を焼いているようでした。それでも、そこは流石のコンパニ。 サニャが狙われていることに気づくと、よりサイドに寄せた守備ポジショニングをして右サイドの守備にウェイトをかける、気の遣える男っぷりを見せていまし た。

対してシティはチェルシーよりは比較的均等に左右のサイドにボールを供給。右サイドはナバスとサニャというユニット、左はミルナークリシー、ではなくアグエロのユニット形成が見られました。



先制したのはホームのチェルシー。右サイドでウィリアンがクリシーに勝ちルーズボールを奪うと、そのボールを受けたイヴァノが逆サイド大 外で待っていたアザールへサイドチェンジ。折り返しにレミーが合わせてゴール。これまで左に攻撃の起点を置いていたなかで、右サイドから左に振るという動 きにシティディフェンスのスライドが間に合わなかった印象。サニャは完全にアザールを見失っていました。これサバレタだったらどうなっていたんだろう。


前半41分という時間で先制に成功し、いい雰囲気のまま前半を終えられるだろうと思っていた矢先。アザールのドリブルがタッチラインを 割ったというミスジャッジをされ、そのスローインの一連の流れからナバスにクエ太の裏を取られます。ナバスのあげたクロスのこぼれ球をアグエロに拾われ、 アグエロの放ったボレーをシルバが逸らし、失点。序盤のデミチェリスハンド疑惑を抗議してる間にアグエロにチャンスつくられた場面といい、セルフジャッジ から集中が切れるのが最近目立ちます。紛れもなくスローイン判定はミスジャッジだったけど、そこで抗議しても判定が覆されないことくらいは選手たちが一番 分かっているはず。抗議はモウリーニョに任せて選手たちは持ち場に戻ればいいんだ。

それとこの失点を招くきっかけとなってしまったプレーとして、マティッチの判断が遅れパスミスになってしまったことも挙げられるかと。こ の試合は全体的にラミレス、イヴァノ、マティッチに判断の遅さが見られました。いつもはセスクがパスコースを指示しているのでそれが無かった影響もあった かもしれないけど。とりあえずラミレスは自陣で謎のスプリントドリブル披露するのやめてくれ。何よりあの自陣ドリブルしてるときのラミレスが一番楽しそう なのがまた辛い。

――――― 後半 ―――――

後半になると、前半に比べシティがよりボールを持ち、チェルシーは受け手に回るという構図に。アザールの疲労(足痛めてた可能性も)もあ り、前線でボールをキープする選手がいなくなったのが要因のひとつとして考えられます。レミーは頑張って体張ってたけど、流石にコンパニ相手だとキツそう でした。でもそこで中盤やサイドに流れて数的優位をつくろうとしてた辺りはGood。


またこの試合ケーヒルに代わってスタメンを務めたズマですが、非常に良かったんじゃないかなと。イヴァノとの連携不足からSBとCBの 間、つまりイヴァノとズマの間を狙われ続けていましたが、よく対応していたと思います。スライディングで足がギュンと伸びるあれ、魅力的ですね。プレシー ズンで心配されていた球速の遅さもだいぶ改善されていました。ひとつ、サイドで対峙するときに両腕フリーなのがこわい。プレミアだとほとんどのDFはハン ド対策として両腕後ろにしまっているので、今度イヴァノに両腕背中の後ろに隠しながら守備する方法教えてもらおう。


ボールを持てるようになったシティは前半同点弾を生み出したナバスサイドを引き続き起点として攻撃を組み立てます。
 
マティッチの食いつきをエリクセンのフリーランによって逆利用され、スパーズで玉砕されたチェルシーは、マティッチと同じようにボール に食いつくタイプ(良く言えば寄せが速いということにもなるのだけど)のクエ太をうまいこと引き出して裏を突くシティの手立てに苦戦していました。
 
 
75' - ペジェグリーニランパードを投入。「アップのジャージを脱いだら実はチェルシーのユニフォーム着てました」という妄想虚しく、そこにはスタンフォードに帰ってきて感慨深そうなランパードがいました。
 
ランパードが入ったシティは2列目の並びを右からナバス / ランパード / シルバとし、ミルナーを1列下げたボランチに。今季シティの奥の手「後半70分台からランパード投入して、疲れた相手DFにランパードのBOX侵入をアてる作戦」。
 
チェルシーアザールはウィリアンのドリブルでボールを運びながら、ファール貰いながら、時間を使っていきます。
 
80' - 怪我でプレー続行が出来なくなったウィリアンに代わって、ドログバランパードJTドログバがピッチに。モウリーニョペジェグリーニの演出乙。
 
「相手がドログバならウチはジェコ」とペジェグリーニはジェコを投入し、ナバスというクロスマシーンから放たれるクロスのターゲットにジェコを据えます。
 
それでもモウリーニョはケーヒル、ロフタス=チークを入れながら時間を使い、試合終了。プレミア天王山はドローといい結果に終わりました。
 
 
 
FT:チェルシー 1-1 マンチェスター・シティ|Remy(41') / Silva(45')
 
チェルシーとしてはセスク&コスタを欠いたこともあり勝ち点差が縮まるという惨事さえ回避できれば問題なし、という試合だったので、後 半特にリスクをかけずドローという結果に終わりました。それでも、ここ最近バックアッの底上げの必要性が叫ばれる中でズマの奮闘やレミーの活躍といった収 穫はあったので、ポジティブに捉えたいと思います。そして新加入(まだ公式には来ていないけど)クアドラードがどうチームに溶け込むか。楽しみです。